バナナカプチーノのアウトプット練習blog

アラフォー共働き子育て中サラリーマンのアウトプットです。

おすすめの岩井圭也さん~読了『楽園の犬』~

岩井圭也さんという作家さんをご存じでしょうか。最近は『われは熊楠』で直木賞にノミネートされたりして、着々と人気と実力を蓄えていらっしゃる作家さんの一人だと思います。私も岩井さんの大ファンで、サイン会にも足を運び、直接お話しながらサインをいただいたほどです(笑)。

 

そんな岩井さんの文庫最新刊『楽園の犬』を読みました。戦時中のサイパンを舞台にしたスパイのお話。楽園=サイパン、犬=スパイを指すのですね。第二次世界大戦の日本とサイパンの関係についてはあまり知らなかったので歴史の勉強にもなりましたし、図らずもスパイとして動くこととなった主人公目線での謎解きの要素もあり、ハラハラしながら惹きこまれて一気に読み進められました。そして最後にはやはり感じる戦争の愚かさ、命の尊さ。エンタメとして一気に読ませる作品に仕上げる岩井さんの手腕に脱帽でした。

 

岩井さん、手掛けるジャンルの幅が広いんですよね。一番読みやすいのは、文庫書下ろしシリーズの『横浜ネイバーズ』だと思います(これは横浜版"IWGP"です)。しみじみとした『生者のポエトリー』『夜更けより静かな場所』、がっつり社会派ミステリーの『汽水域』やほの暗い短編集『暗い引力』もおすすめです。個人的に、今もっとも直木賞に近い作家さんだと思っています。